修繕費資本的支出の判定

一般的に「修繕費」と考えられているものと、税金を計算するうえでの修繕費とは違う場合があります。
一の修理、改良等の額が税金を計算するうえで、修繕費に該当するか、修繕費ではないかどうかを判定します。
修繕費に該当すれば、当期の費用にできます。
修繕費に該当しなければ、当期の費用にできません。取得価額の一部となるか、資本的支出とされます。修繕費でないものは資産に計上してください。
資産に計上したうえで、耐用年数に応じた費用配分(減価償却)を行ってください。

資本的支出

法人がその有する固定資産の修理、改良等のために支出した金額のうち当該固定資産の価値を高め、又はその耐久性を増すこととなると認められる部分に対応する金額が資本的支出となるのであるから、例えば次に掲げるような金額は、原則として資本的支出に該当する。
(1) 建物の避難階段の取付等物理的に付加した部分に係る費用の額
(2) 用途変更のための模様替え等改造又は改装に直接要した費用の額
(3) 機械の部分品を特に品質又は性能の高いものに取り替えた場合のその取替えに要した費用の額のうち通常の取替えの場合にその取替えに要すると認められる費用の額を超える部分の金額
(注) 建物の増築、構築物の拡張、延長等は建物等の取得に当たる。
(基通7-8-1)

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修繕費

法人がその有する固定資産の修理、改良等のために支出した金額のうち当該固定資産の通常の維持管理のため、又はき損した固定資産につきその原状を回復するために要したと認められる部分の金額が修繕費となるのであるが、次に掲げるような金額は、修繕費に該当する。
(1) 建物の移えい又は解体移築をした場合(移えい又は解体移築を予定して取得した建物についてした場合を除く。)におけるその移えい又は移築に要した費用の額。ただし、解体移築にあっては、旧資材の70%以上がその性質上再使用できる場合であって、当該旧資材をそのまま利用して従前の建物と同一の規模及び構造の建物を再建築するものに限る。
(2) 機械装置の移設(7-3-12《集中生産を行う等のための機械装置の移設費》の本文の適用のある移設を除く。)に要した費用(解体費を含む。)の額
(3) 地盤沈下した土地を沈下前の状態に回復するために行う地盛りに要した費用の額。ただし、次に掲げる場合のその地盛りに要した費用の額を除く。
イ 土地の取得後直ちに地盛りを行った場合
ロ 土地の利用目的の変更その他土地の効用を著しく増加するための地盛りを行った場合
ハ 地盤沈下により評価損を計上した土地について地盛りを行った場合
(4) 建物、機械装置等が地盤沈下により海水等の浸害を受けることとなったために行う床上げ、地上げ又は移設に要した費用の額。ただし、その床上工事等が従来の床面の構造、材質等を改良するものである等明らかに改良工事であると認められる場合のその改良部分に対応する金額を除く。
(5) 現に使用している土地の水はけを良くする等のために行う砂利、砕石等の敷設に要した費用の額及び砂利道又は砂利路面に砂利、砕石等を補充するために要した費用の額
(基通7-8-2)

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一の修理、改良等

一の計画に基づき同一の固定資産について行う修理、改良等をいい、その一の修理、改良等が2以上の事業年度にわたって行われるときは、各事業年度ごとに要した金額。本文の「同一の固定資産」は、一の設備が2以上の資産によって構成されている場合には当該一の設備を構成する個々の資産とし、送配管、送配電線、伝導装置等のように一定規模でなければその機能を発揮できないものについては、その最小規模として合理的に区分した区分ごととする。
(基通7-8-3より抜粋)

一つの資産に対して行われる修理・改良の費用で、関連性のあるものを一単位として以下のフォームを入力してください。
しかし、その修理・改良が別々の事業年度に分かれて完成・引き渡しを受けているときは、事業年度ごとに一単位としてください。ただし、完成・引き渡しが一つの事業年度内に行われ、支払が別々の事業年度に分かれている場合はその修理・改良全体を一単位としてください。
また、一つの修理・改良の費用が別々の請求書に分けられていたり、別々の業者からの請求書に分けられていても、全体の金額を一単位としてください。

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一の修理、改良等の発生時期

事業供用前

事業供用後

判定

全額を資産の取得価額に含める。

その期の一の修理、改良等の額

20万円未満

20万円以上

判定

全額を修繕費に計上。

一の修理、改良等が発生するおおむねの周期

3年以内

3年超

判定

全額を修繕費に計上

災害により被害を受けた資産につき支出したもの

該当しない

該当する

原状回復費用や被災前の効用を維持するための補強工事のどちらに該当する

該当しない

該当する

判定

30%を修繕費に計上、
70%を資本的支出(資産に計上)

判定

全額を修繕費に計上。

明らかに資本的支出又は修繕費のどちらかの部分があるか?

部分がない

部分がある

明らかな部分は修繕費or資本的支出のどちらか?

修繕費

資本的支出

<

判定

明らかな部分を修繕費に計上

明らかな部分以外に不明部分があるかどうか?

不明部分なし

不明部分あり

判定

明らかな部分は資本的支出
(資産に計上)

明らかな部分以外に不明部分があるかどうか?

不明部分なし

不明部分あり

一の修理、改良等の額と前期末取得価額を入力して、スタートボタンを押してください。

一の修理、改良等の額

前期末取得価額

前期末取得価額

固定資産の取得時の価額に、その後追加で資本的支出があった場合にはその金額をした価額

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判定

全額を修繕費に計上

判定

修繕費
資本的支出

どの経理にもよらない場合

内国法人が、修理、改良その他いずれの名義をもつてするかを問わず、その有する固定資産について支出する金額で次に掲げる金額に該当するもの(そのいずれにも該当する場合には、いずれか多い金額)は、その内国法人のその支出する日の属する事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。
一 当該支出する金額のうち、その支出により、当該資産の取得の時において当該資産につき通常の管理又は修理をするものとした場合に予測される当該資産の使用可能期間を延長させる部分に対応する金額
二 当該支出する金額のうち、その支出により、当該資産の取得の時において当該資産につき通常の管理又は修理をするものとした場合に予測されるその支出の時における当該資産の価額を増加させる部分に対応する金額
(令132)

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